石川県の建設・測量・地質・環境分析業界と能登復興需要を整理【2026年7月版】

2026年9月26日再点検|財務は9月9日更新の企業要覧

石川県の建設・測量・地質・環境分析業界と能登復興需要を整理【2026年9月更新】

県内54社の財務を更新し、2026年8月の大雨災害に対する9月補正予算案、復興公営住宅の整備計画、奥能登の8月推計人口を加えた。能登半島地震の復旧需要と新たな豪雨対応を区別して読む。

今回の見直し:54社の財務指標と売上順位を再計算。根拠の薄い独自総合点や「利益の使い方」の類型化を削除した。人口の基準改定と震災前に作られた2050年推計の前提を明記した。

1.対象と計算方法

元記事で各協会の公表名簿から選んだ県内54社を引き継ぎ、国土交通省の建設関連業企業要覧(2026年9月9日更新)の同一法人に再照合した。建コン協会7社、地質協会14社、測量協会33社を重複させず表示する。協会所属は任意であり、国交省への登録や法定の環境計量証明登録と同じ意味ではない。

財務は会社全体の直近掲載決算であり、測量・地質・建コン部門だけの売上ではない。決算日が違う会社を並べている。売上原価=売上高−売上総利益、営業利益=売上総利益−販管費、各比率=各金額÷売上高、自己資本比率=純資産÷総資産。表示は億円で小数第2位、率で小数第1位に丸め、計算は円単位の原数値を使用。集計の「加重」は金額を合算してから比率を求めた。

※東亜鑿泉工業は要覧の事業年度が2024年4月1日~2026年3月31日の2年間。売上高の規模順位を他社の1年決算と直接比べられない。原資料は登録書面からの二次情報で、空欄・ゼロの仕様にも注意が必要。

2.国交省登録と協会を分けて見る

石川県内に主たる営業所を置く国交省登録は建コン52、地質調査25、測量107で、延べ184登録。名称を統合すると127法人となり、複数登録する法人が多い。登録件数は建設コンサルの実務者数や県内協会の会員数を意味しない。県外本社の石川県内営業所も、この本社抽出の対象外となる。

以下の54社は元記事で協会名簿を軸に選んだ比較集団で、同じ会社を1度だけ掲載するために建コン、地質、測量の順で優先して区分した。区分名は専業であることを示さない。

3.協会別の財務構造と会社別一覧

区分社数売上計(億円)原価率(加重)販管費率(加重)営業利益率(加重)営業利益率(中央値)
建コン協会7191.1365.5%19.0%15.5%17.2%
地質協会14176.6268.8%14.6%16.7%17.3%
測量協会3398.6554.3%17.2%28.5%18.5%

建コン7社の売上合計は191.13億円、地質14社は176.62億円、測量33社は98.65億円。地質区分には地質以外の事業も行う会社が含まれ、復興需要に伴う増収・利益を個社の財務だけから特定できない。加重平均と中央値が違う場合は、売上規模の大きい会社の影響を疑って読む。

区分内は売上順。金額・比率は会社全体。「※」は事業年度が通常の1年ではない会社。横にスクロールして見られます。

建コン協会:7社

売上順会社名決算日売上(億円)原価(億円)販管費(億円)営業益(億円)営業益率純益率自己資本比率
1日本海コンサルタント2025-09-3049.4932.378.618.5217.2%12.1%53.1%
2国土開発センター2025-09-3048.9935.0310.203.767.7%6.0%55.9%
3東洋設計2026-03-3147.9533.477.666.8214.2%5.1%21.8%
4ナチュラルコンサルタント2025-09-3015.957.963.524.4728.0%26.4%67.9%
5アルスコンサルタンツ2025-09-3011.476.112.822.5422.1%14.8%41.9%
6五大開発2025-09-3011.186.172.452.5723.0%15.3%69.8%
7プラネット・コンサルタント2025-06-306.094.070.981.0517.2%7.1%52.3%

地質協会:14社

売上順会社名決算日売上(億円)原価(億円)販管費(億円)営業益(億円)営業益率純益率自己資本比率
1ホクコク地水2025-06-3041.2826.186.288.8221.4%14.5%78.4%
2エオネックス2026-03-3137.8431.023.753.088.1%7.9%22.5%
3能登建設2025-05-3124.2417.673.473.1012.8%8.7%44.9%
4興信工業2026-03-3114.318.621.644.0528.3%19.2%46.7%
5のとさく2025-05-3112.767.581.593.5828.1%19.6%58.7%
6中部地質2025-06-2010.716.271.952.4923.3%15.1%27.1%
7カナイワ2025-08-3110.298.191.770.333.3%1.5%21.4%
8日研技術2025-05-316.543.981.131.4422.0%14.3%39.0%
9中部地下開発2025-07-316.533.482.021.0315.8%13.3%22.8%
10古一地下開発2025-09-305.904.140.711.0517.8%12.2%72.7%
11東亜鑿泉工業 ※2026-03-312.071.500.61-0.04-2.0%-1.1%71.5%
12国際地研2026-03-311.531.360.130.042.8%0.0%40.0%
13石川地質コンサルタンツ2025-05-311.530.900.350.2818.4%5.5%9.1%
14北海技建2026-04-301.090.560.350.1816.8%13.1%37.7%

測量協会:33社

売上順会社名決算日売上(億円)原価(億円)販管費(億円)営業益(億円)営業益率純益率自己資本比率
1利水社2026-03-3112.539.351.561.6212.9%9.0%45.1%
2地域みらい2025-10-3110.265.871.143.2531.7%5.9%24.3%
3鳥越2026-03-319.824.161.024.6347.2%30.1%49.9%
4日本海航測2025-09-308.555.941.071.5317.9%12.2%57.3%
5羽咋測量設計2025-06-308.324.060.673.6043.2%27.7%67.4%
6テクノマップ2026-04-306.693.120.662.9043.4%29.0%80.4%
7北日本ジオグラフィ2025-08-315.363.311.060.9918.5%15.5%78.1%
8太陽測地社2025-06-305.092.241.301.5530.5%21.9%85.6%
9石川都市開発2026-03-314.662.540.491.6335.0%25.4%84.6%
10旭2026-05-313.892.010.671.2131.1%22.2%79.9%
11高山測量設計事務所2025-08-312.461.430.410.6225.2%17.4%58.8%
12津田測量2025-12-312.310.700.311.3056.3%36.6%74.5%
13SAQLAS2026-01-311.760.920.750.095.0%4.4%39.6%
14カホク測量設計2025-08-311.621.050.450.127.7%6.0%69.7%
15セントラル航業2025-06-301.290.540.430.3224.6%18.8%88.4%
16エービーコンサルタント2025-11-301.290.660.470.1612.4%10.0%80.4%
17稲垣測量2025-09-301.210.450.280.4839.6%24.1%87.9%
18加能技研2026-03-311.100.730.310.065.9%0.4%6.6%
19武田測量設計事務所2025-12-310.970.050.430.4950.3%36.0%40.8%
20森平測量2025-12-310.950.210.100.6467.1%45.7%64.6%
21小松測量2026-03-310.950.460.410.088.0%7.2%60.9%
22大扇地理2025-12-310.920.230.240.4448.0%32.6%73.6%
23開発技研2026-03-310.830.320.320.1822.2%14.9%44.1%
24新開測量2025-09-300.800.450.300.055.7%7.4%61.5%
25日本海測量2025-06-300.780.300.430.045.7%4.4%97.3%
26エーブルコンサルタンツ2025-12-310.700.360.260.0811.2%9.4%60.5%
27俵設計2026-01-310.660.550.23-0.12-18.8%-18.5%99.0%
28シーディーシー2025-09-300.630.500.070.058.5%4.5%45.6%
29北陸開発設計2026-05-310.560.370.140.058.5%9.1%62.2%
30水文測量2026-03-310.550.010.470.0611.8%4.2%16.1%
31生田測量2025-08-310.520.330.21-0.02-3.1%-3.1%86.4%
32小畑設計事務所2026-03-310.480.260.180.047.6%10.6%86.4%
33金城コンサルタント2025-10-310.170.040.100.0421.2%17.4%-81.6%

7月掲載売上の更新差分

会社7月版(億円)9月版(億円)
興信工業6.1814.31
テクノマップ4.686.69
旭2.563.89
北海技建2.191.09
北陸開発設計0.780.56
国際地研1.161.53

これは企業要覧の掲載時点差であり、同一年度の増減率ではない。売上以外の財務指標も54社分を今回の資料で再計算している。

4.環境分析・計量と地質調査

石川県の環境計量証明事業者一覧は2026年8月14日更新で、環境計量証明事業所が17件、特定計量証明事業者が1件掲載される。事業所の所在地・登録区分を示す一覧であり、上の国交省登録や協会54社と足し合わせない。大気・水・土壌の濃度、騒音・振動、特定濃度など、測れる項目と登録の種類が事業者によって違う。

解体・復旧・再建の各段階で環境調査が必要になる可能性がある。ただし、何社にどの程度の売上が生じたかは一覧からは分からない。分析設備、精度管理、採取・運搬体制、納期と発注実績を別途確認したい。

5.県予算:震災復旧と2026年8月の大雨を区別する

投資的経費の推移は、震災前の令和5年度当初1,021.98億円、地震直後の令和6年度当初4,542.43億円、令和7年度当初2,865.98億円、令和8年度当初2,825.72億円。9月追加提案を含む令和8年度の現計案は3,344.25億円となる。最後の値は年度途中の補正を含むので、当初予算どうしの増減と同じ系列として扱わない。

年度と時点投資的経費(億円)読み方
2023年度当初1,021.98震災前
2024年度当初4,542.43地震後の当初予算
2025年度当初2,865.98当初予算
2026年度当初2,825.72当初予算
2026年度9月案3,344.25年度途中の補正を含む案

令和8年度当初予算の投資的経費は2,825.72億円、そのうち災害復旧事業は1,942.51億円。9月の追加提案を含む県の補正予算概要(9月15日付)では、補正後の投資的経費を3,344.25億円としている。年度当初と9月案は予算の時点が異なり、工事発注済みの額ではない。

9月補正の当初提案152.32億円とは別に、追加提案は192.997億円で、そのうち投資的経費187.542億円。追加提案の主要事業は2026年8月の大雨対応として、公共土木施設(道路・河川・砂防)の早期復旧107.93億円や、河川・砂防施設の堆積土砂・流木除去17.42億円を挙げる。これは2024年能登半島地震だけの復旧予算ではない。補正後の一般会計総額9,731.08億円も、建設関連業務の市場規模と同一視できない。

追加提案は掲載時点の議案資料に基づく。額が大きくても、予算成立、発注、完成、支払いは別の段階である。測量・地質・設計の取り分を推定するには事業別の公告を追う必要がある。

6.復興公営住宅と公共施設の進捗

県の復興公営住宅整備状況によると、2026年8月31日時点で9市町に整備予定があり、計画一覧の予定戸数の合計は2,997戸。輪島975戸、珠洲736戸、能登260戸、穴水232戸など。これは整備予定であり、完成戸数や入居戸数ではない。

県の公共土木施設の復旧・復興情報は道路、河川・海岸、土砂災害、港湾の進捗を分野別に更新している。道路・斜面、護岸、砂防施設、港湾に加え、住宅用地の造成・排水・地盤確認は、案件ごとに測量、地質、設計や施工管理につながり得る。しかし全ての計画で新たな調査業務が発注されると断定はできない。

7.奥能登4市町の人口:新しい基準で読む

石川県の2026年8月1日推計では奥能登の人口は43,599人。県全体1,081,020人の4.0%で、前月比は152人減。元記事で用いた4月1日推計44,261人からは662人少ない。調査・公表時点と人口推計の基準が異なる可能性に注意し、この差だけから転出者数や災害の影響を確定しない。

県の8月推計は2025年国勢調査の速報値を基準にしている。確報値公表後には過去に遡って人口が再推計される予定であり、元記事にあった2019年・2024年・2026年の異なる基準の数字をつないで「何%減った」とする精密な長期比較は一旦保留した。

社人研の2023年公表・2050年地域別推計から計算した奥能登4市町の合計2万5,739人は、2020年国勢調査を基にした震災前の推計。2024年の地震・豪雨後の移動や帰還を織り込んだ最新予測ではないため、8月実績から2050年までの確実な減少数として扱わない。復旧施設の規模は、最新の実居住、帰還意向、観光や工事関係者の一時需要も見て決める必要がある。

元記事に掲載した市町別の人口ピラミッド動画は将来推計の見え方を知る参考として残す。動画の2050年像も震災前に作られた推計に基づくため、被災後の確定的な将来像ではない。

8.復興需要の見通しと見るべき指標

2026年度には地震・豪雨の本復旧、復興公営住宅、上下水道、道路・砂防など複数の事業が並行し、さらに8月大雨の復旧が加わった。仕事量が一斉に終わる時期を予算額だけで決めることはできない。一方、測量・地質調査は設計や施工に先行する案件もあるので、工事予算が残っていても調査・設計の発注は先に変化し得る。

会社別には売上の一時的な増減より、決算期間をそろえた複数期の営業利益率、受注残高、外注比率、技術者の稼働、自己資本と資金繰りを確認したい。表の「売上順」は業務品質や財務健全性の総合評価ではない。復興投資は施設の完成後に必要な維持管理費、孤立の防止、住民の生活再建も含めて判断すべきだ。

参考にした公開情報

確認日:2026年9月26日。各社の財務と予算資料は異なる基準日。企業要覧は登録書面の二次情報。県の9月追加提案は予算案として記述した。

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