令和6年能登半島地震で石川県の建設関連業界は「潤った」のか
石川県測量地質調査建設コンサルタント

令和6年能登半島地震で
石川県の建設関連業界は「潤った」のか

決算、他県比較、入札環境、熊本地震後の予算推移から見る復興特需と、その後に残る課題

作成・確認:2026年7月22日 16時台(日本時間)
最初に
「潤った」という言い方は強いですが、被災者の苦しみや地域の損失を軽く見るものではありません。 ここでは、国土交通省が公開する各社の決算数字を使い、復旧・復興需要が建設関連会社の売上と利益にどう表れたかを整理します。

結論から言うと、石川県の測量、地質調査、建設コンサルタントは、震災前と比べて売上も利益も大きく伸びています。 岐阜県と福島県では、同じ期間の同一会社比較で売上の中央値が減少しているのに対し、石川県は3区分すべてで大幅な増加となりました。

石川県54社の売上合計286.6億円
→ 455.9億円
売上増加率+59.0%
営業利益4.2倍
営業利益率6.9%
→ 18.3%

1.他県と比べると、石川県だけ伸び方が大きい

登録番号が同じ会社を震災前と現在で突き合わせ、各社の売上増減率の中央値を比較しました。大会社1社の影響を受けにくい数字です。

同一会社の売上増減率中央値:石川県だけ全区分で大幅増-21.7%-6.8%8.1%23.0%37.9%52.8%42.2%-3.2%-8.7%建コン37.7%-3.2%-9.7%地質調査45.6%-3.6%-14.5%測量石川岐阜福島国交省登録番号で震災前と現在を照合
区分同一会社個社売上増減率中央値営業利益率利益率の変化販管費率の変化
建コン石川県 51社 +42.2% 8.4% → 13.2% +4.8pt -1.8pt
建コン岐阜県 50社 -3.2% 7.3% → 5.6% -1.6pt +1.0pt
建コン福島県 53社 -8.7% 15.0% → 8.8% -6.2pt +2.1pt
地質調査石川県 25社 +37.7% 6.4% → 13.6% +7.2pt -1.3pt
地質調査岐阜県 13社 -3.2% 9.6% → 5.9% -3.7pt +0.2pt
地質調査福島県 15社 -9.7% 11.5% → 4.0% -7.6pt +2.9pt
測量石川県 92社 +45.6% 5.9% → 13.8% +7.8pt -2.0pt
測量岐阜県 118社 -3.6% 9.0% → 6.0% -3.0pt +0.9pt
測量福島県 218社 -14.5% 8.6% → 5.7% -2.9pt +1.1pt

石川県は、建コンで約42%、地質で約38%、測量で約46%の増収です。一方、岐阜県と福島県は全区分で減収でした。 営業利益率も、石川県では全区分で上昇し、他の2県は低下しています。 物価上昇や全国的な業界好況だけでは説明しにくく、能登半島地震後の調査・測量・設計・復旧需要が強く表れていると考えられます。

2.石川県では売上以上に利益が伸びた

石川県・業種別売上高(同一会社)0.0億円42.8億円85.6億円128.4億円171.3億円214.1億円142.0億円191.1億円建コン103.1億円169.2億円地質調査41.6億円95.5億円測量震災前現在
石川県・業種別営業利益(同一会社)0.0億円6.7億円13.3億円20.0億円26.6億円33.3億円10.7億円29.7億円建コン6.2億円26.8億円地質調査2.8億円26.8億円測量震災前現在
石川県・業種別販管費(同一会社)0.0億円8.1億円16.2億円24.4億円32.5億円40.6億円31.1億円36.2億円建コン19.3億円24.2億円地質調査13.7億円17.0億円測量震災前現在
区分同一会社売上高販管費・販管費率営業利益・営業利益率純利益
建コン 7社 142.00億円 → 191.13億円
+34.6%
31.09億円 → 36.24億円
21.9% → 19.0%
10.73億円 → 29.72億円
7.6% → 15.5%
6.66億円 → 19.42億円
地質調査 14社 103.07億円 → 169.22億円
+64.2%
19.33億円 → 24.17億円
18.8% → 14.3%
6.23億円 → 26.82億円
6.0% → 15.9%
3.75億円 → 19.17億円
測量 33社 41.57億円 → 95.53億円
+129.8%
13.70億円 → 16.97億円
32.9% → 17.8%
2.76億円 → 26.79億円
6.6% → 28.0%
1.45億円 → 16.69億円
営業利益率:全区分で大幅改善0.0%6.3%12.6%18.8%25.1%31.4%7.6%15.5%建コン6.0%15.9%地質調査6.6%28.0%測量震災前現在
販管費率:売上に対する負担は低下0.0%7.4%14.8%22.1%29.5%36.9%21.9%19.0%建コン18.8%14.3%地質調査32.9%17.8%測量震災前現在

販管費の金額は増えています。人員、車両、事務所、採用、管理部門などに費用がかかったためです。 ただし、全体では売上が+59.0%増えたのに対し、販管費の増加は+20.7%でした。 販管費率は22.4%から17.0%へ下がっています。 つまり、増えた固定費や間接費を上回る速さで売上が増え、利益が残ったということです。

業種ごとの見方

建設コンサルタント売上合計は34.6%増。営業利益率は7.6%から15.5%へ上昇しました。規模の大きい会社が多いため測量ほど増加率は大きくありませんが、増収と採算改善が両立しています。
地質調査売上合計は64.2%増。営業利益率は6.0%から15.9%へ上昇。ボーリング、斜面・地すべり調査、災害査定資料など、震災後に必要となる仕事の増加が決算に表れています。
測量売上合計は約2.3倍、営業利益は約9.7倍です。営業利益率28.0%は一部の高利益会社の影響もありますが、個社売上増加率の中央値も115%で、広い範囲の会社が伸びています。

3.石川県の会社別:売上、利益、販管費と短評

下の「短評」は企業への取材コメントではありません。国交省の決算データから、本記事で機械的・客観的に整理したものです。 震災関連売上だけを切り分けた決算ではないため、個別会社について「震災で増えた」と断定はしていません。
建設コンサルタント 7社
会社名売上高
震災前→現在
売上増減 営業利益
震災前→現在
販管費
震災前→現在
現在の純利益決算データからの短評
株式会社 日本海コンサルタント 35.95億円
49.49億円
+37.7% 3.01億円
8.52億円
17.2%
7.94億円
8.61億円
17.4%
5.97億円
12.1%
大幅な増収。営業利益率も高水準。利益率も改善。
株式会社 国土開発センター 38.80億円
48.99億円
+26.3% 1.69億円
3.76億円
7.7%
8.04億円
10.20億円
20.8%
2.94億円
6.0%
増収を確保。黒字は確保。
株式会社 東洋設計 29.44億円
47.95億円
+62.8% 7118万円
6.82億円
14.2%
7.27億円
7.66億円
16.0%
2.45億円
5.1%
大幅な増収。採算は良好。採算が大きく改善。
ナチュラルコンサルタント 株式会社 11.90億円
15.95億円
+34.0% 1.50億円
4.47億円
28.0%
3.08億円
3.52億円
22.1%
4.21億円
26.4%
大幅な増収。営業利益率も高水準。採算が大きく改善。
アルスコンサルタンツ 株式会社 9.98億円
11.47億円
+14.9% 3226万円
2.54億円
22.1%
2.25億円
2.82億円
24.6%
1.70億円
14.8%
増収を確保。営業利益率も高水準。採算が大きく改善。
五大開発 株式会社 9.01億円
11.18億円
+24.1% 2.08億円
2.57億円
23.0%
1.44億円
2.45億円
21.9%
1.71億円
15.3%
増収を確保。営業利益率も高水準。販管費負担の増加には注意。
株式会社 プラネット・コンサルタント 6.91億円
6.09億円
-11.9% 1.41億円
1.05億円
17.2%
1.07億円
9772万円
16.0%
4340万円
7.1%
売上は小幅減。営業利益率も高水準。
地質調査 14社
会社名売上高
震災前→現在
売上増減 営業利益
震災前→現在
販管費
震災前→現在
現在の純利益決算データからの短評
株式会社 ホクコク地水 26.74億円
41.28億円
+54.4% 2.20億円
8.82億円
21.4%
4.50億円
6.28億円
15.2%
5.99億円
14.5%
大幅な増収。営業利益率も高水準。採算が大きく改善。
株式会社 エオネックス 22.19億円
37.84億円
+70.5% 1.04億円
3.08億円
8.1%
2.70億円
3.75億円
9.9%
3.00億円
7.9%
大幅な増収。採算は良好。
能登建設 株式会社 9.77億円
24.24億円
+148.1% 1.02億円
3.10億円
12.8%
2.78億円
3.47億円
14.3%
2.12億円
8.7%
売上は約2.5倍。採算は良好。売上増で販管費負担を大きく吸収。
株式会社 のとさく 7.34億円
12.76億円
+73.9% 9624万円
3.58億円
28.1%
1.23億円
1.59億円
12.5%
2.51億円
19.6%
大幅な増収。営業利益率も高水準。採算が大きく改善。
中部地質 株式会社 7.84億円
10.71億円
+36.7% 3437万円
2.49億円
23.3%
1.72億円
1.95億円
18.2%
1.62億円
15.1%
大幅な増収。営業利益率も高水準。採算が大きく改善。
株式会社 カナイワ 6.06億円
10.29億円
+69.9% ▲1066万円
3350万円
3.3%
1.51億円
1.77億円
17.2%
1552万円
1.5%
大幅な増収。黒字は確保。利益率も改善。
株式会社 日研技術 3.59億円
6.54億円
+82.4% 2896万円
1.44億円
22.0%
1.03億円
1.13億円
17.2%
9372万円
14.3%
大幅な増収。営業利益率も高水準。採算が大きく改善。
中部地下開発 株式会社 4.51億円
6.53億円
+44.6% ▲716万円
1.03億円
15.8%
8800万円
2.02億円
30.9%
8700万円
13.3%
大幅な増収。営業利益率も高水準。採算が大きく改善。
興信工業 株式会社 7.20億円
6.18億円
-14.1% 2603万円
1.11億円
18.0%
1.12億円
1170万円
1.9%
8178万円
13.2%
売上は小幅減。営業利益率も高水準。採算が大きく改善。
古一地下開発 株式会社 3.06億円
5.90億円
+92.9% 4641万円
1.05億円
17.8%
6448万円
7094万円
12.0%
7170万円
12.2%
大幅な増収。営業利益率も高水準。売上増で販管費負担を大きく吸収。
北海技建 株式会社 0.65億円
2.19億円
+238.0% 200万円
5361万円
24.5%
2042万円
3010万円
13.7%
3717万円
17.0%
売上は震災前の約3.4倍。営業利益率も高水準。採算が大きく改善。
東亜鑿泉工業 株式会社 2.15億円
2.07億円
-3.6% ▲652万円
▲413万円
-2.0%
5851万円
6089万円
29.4%
▲224万円
-1.1%
売上は小幅減。営業赤字で、受注増が利益に結び付いていない。
株式会社 石川地質コンサルタンツ 0.49億円
1.53億円
+211.0% ▲1213万円
2813万円
18.4%
2598万円
3487万円
22.8%
848万円
5.5%
売上は震災前の約3.1倍。営業利益率も高水準。採算が大きく改善。
国際地研 株式会社 1.49億円
1.16億円
-22.5% 3万円
143万円
1.2%
1597万円
1317万円
11.4%
1,000円
0.0%
売上は減少。黒字は確保。
測量 33社
会社名売上高
震災前→現在
売上増減 営業利益
震災前→現在
販管費
震災前→現在
現在の純利益決算データからの短評
株式会社 利水社 4.49億円
12.53億円
+178.7% 2710万円
1.62億円
12.9%
9554万円
1.56億円
12.4%
1.13億円
9.0%
売上は約2.8倍。採算は良好。利益率も改善。
株式会社 地域みらい 2.76億円
10.26億円
+272.2% 526万円
3.25億円
31.7%
2.30億円
1.14億円
11.1%
6096万円
5.9%
売上は震災前の約3.7倍。営業利益率は非常に高い。採算が大きく改善。
株式会社 鳥越 2.28億円
9.82億円
+331.1% 3656万円
4.63億円
47.2%
5338万円
1.02億円
10.4%
2.96億円
30.1%
売上は震災前の約4.3倍。営業利益率は非常に高い。採算が大きく改善。
日本海航測 株式会社 5.12億円
8.55億円
+67.0% 3388万円
1.53億円
17.9%
6140万円
1.07億円
12.6%
1.04億円
12.2%
大幅な増収。営業利益率も高水準。採算が大きく改善。
羽咋測量設計 株式会社 1.93億円
8.32億円
+330.3% ▲114万円
3.60億円
43.2%
7224万円
6659万円
8.0%
2.30億円
27.7%
売上は震災前の約4.3倍。営業利益率は非常に高い。採算が大きく改善。
株式会社 北日本ジオグラフィ 3.32億円
5.36億円
+61.4% 1539万円
9946万円
18.5%
7825万円
1.06億円
19.7%
8316万円
15.5%
大幅な増収。営業利益率も高水準。採算が大きく改善。
株式会社 太陽測地社 2.79億円
5.09億円
+82.6% 951万円
1.55億円
30.5%
1.03億円
1.30億円
25.5%
1.11億円
21.9%
大幅な増収。営業利益率は非常に高い。採算が大きく改善。
株式会社 テクノマップ 1.90億円
4.68億円
+146.2% ▲776万円
1.74億円
37.2%
4988万円
8083万円
17.3%
1.24億円
26.4%
売上は約2.5倍。営業利益率は非常に高い。採算が大きく改善。
石川都市開発 株式会社 1.01億円
4.66億円
+360.1% 4099万円
1.63億円
35.0%
3346万円
4862万円
10.4%
1.18億円
25.4%
売上は震災前の約4.6倍。営業利益率は非常に高い。利益率は悪化。
株式会社 旭 0.78億円
2.56億円
+228.6% 133万円
9080万円
35.5%
2879万円
5584万円
21.8%
6270万円
24.5%
売上は震災前の約3.3倍。営業利益率は非常に高い。採算が大きく改善。
有限会社 高山測量設計事務所 1.02億円
2.46億円
+140.2% ▲148万円
6190万円
25.2%
2899万円
4101万円
16.7%
4284万円
17.4%
売上は約2.4倍。営業利益率も高水準。採算が大きく改善。
株式会社 津田測量 0.92億円
2.31億円
+151.1% 1072万円
1.30億円
56.3%
2837万円
3134万円
13.6%
8453万円
36.6%
売上は約2.5倍。営業利益率は非常に高い。採算が大きく改善。
SAQLAS 株式会社 0.74億円
1.76億円
+137.8% 926万円
882万円
5.0%
3570万円
7465万円
42.4%
769万円
4.4%
売上は約2.4倍。黒字は確保。利益率は悪化。
カホク測量設計 株式会社 0.53億円
1.62億円
+204.0% 1311万円
1248万円
7.7%
1690万円
4469万円
27.5%
982万円
6.0%
売上は震災前の約3.0倍。黒字は確保。利益率は悪化。
セントラル航業 株式会社 1.68億円
1.29億円
-23.2% 1654万円
3165万円
24.6%
4791万円
4316万円
33.5%
2426万円
18.8%
売上は減少。営業利益率も高水準。採算が大きく改善。
エービーコンサルタント 株式会社 0.76億円
1.29億円
+70.3% 848万円
1588万円
12.4%
3197万円
4666万円
36.3%
1282万円
10.0%
大幅な増収。採算は良好。販管費率も低下。
株式会社 稲垣測量 0.50億円
1.21億円
+140.7% ▲520万円
4786万円
39.6%
1932万円
2837万円
23.5%
2912万円
24.1%
売上は約2.4倍。営業利益率は非常に高い。採算が大きく改善。
株式会社 加能技研 1.16億円
1.10億円
-5.4% 597万円
644万円
5.9%
2562万円
3092万円
28.1%
40万円
0.4%
売上は小幅減。黒字は確保。販管費負担の増加には注意。
有限会社 武田測量設計事務所 1.25億円
0.97億円
-22.1% 865万円
4894万円
50.3%
2468万円
4292万円
44.1%
3497万円
36.0%
売上は減少。営業利益率は非常に高い。採算が大きく改善。
有限会社 森平測量 0.24億円
0.95億円
+303.2% ▲182万円
6365万円
67.1%
862万円
997万円
10.5%
4332万円
45.7%
売上は震災前の約4.0倍。営業利益率は非常に高い。採算が大きく改善。
小松測量 株式会社 0.36億円
0.95億円
+163.3% ▲872万円
754万円
8.0%
2646万円
4120万円
43.5%
680万円
7.2%
売上は約2.6倍。黒字は確保。採算が大きく改善。
株式会社 大扇地理 1.04億円
0.92億円
-11.1% 5057万円
4424万円
48.0%
2786万円
2445万円
26.5%
3002万円
32.6%
売上は小幅減。営業利益率は非常に高い。
株式会社 開発技研 0.21億円
0.83億円
+301.7% 22万円
1844万円
22.2%
913万円
3224万円
38.9%
1233万円
14.9%
売上は震災前の約4.0倍。営業利益率も高水準。採算が大きく改善。
新開測量 有限会社 0.37億円
0.80億円
+115.2% ▲1065万円
451万円
5.7%
2263万円
3004万円
37.7%
591万円
7.4%
売上は約2.2倍。黒字は確保。採算が大きく改善。
株式会社 北陸開発設計 0.27億円
0.78億円
+194.3% ▲978万円
1471万円
18.8%
1226万円
1423万円
18.1%
1189万円
15.2%
売上は約2.9倍。営業利益率も高水準。採算が大きく改善。
日本海測量 株式会社 1.21億円
0.78億円
-35.8% 3526万円
441万円
5.7%
3516万円
4299万円
55.3%
346万円
4.4%
売上は減少。黒字は確保。利益率は悪化。
エーブルコンサルタンツ 株式会社 0.51億円
0.70億円
+38.1% 632万円
779万円
11.2%
2351万円
2579万円
36.9%
654万円
9.4%
大幅な増収。採算は良好。売上増で販管費負担を大きく吸収。
株式会社 俵設計 0.57億円
0.66億円
+16.1% ▲1338万円
▲1245万円
-18.8%
2784万円
2333万円
35.3%
▲1222万円
-18.5%
増収を確保。営業赤字で、受注増が利益に結び付いていない。利益率も改善。
株式会社 シーディーシー 0.63億円
0.63億円
-0.1% 610万円
534万円
8.5%
3594万円
728万円
11.5%
284万円
4.5%
売上は小幅減。採算は良好。売上増で販管費負担を大きく吸収。
株式会社 水文測量 0.40億円
0.55億円
+38.0% ▲136万円
644万円
11.8%
3894万円
4695万円
86.0%
227万円
4.2%
大幅な増収。採算は良好。採算が大きく改善。
株式会社 生田測量 0.40億円
0.52億円
+32.1% ▲2万円
▲162万円
-3.1%
1203万円
2052万円
39.3%
▲164万円
-3.1%
大幅な増収。営業赤字で、受注増が利益に結び付いていない。販管費負担の増加には注意。
株式会社 小畑設計事務所 0.33億円
0.48億円
+45.0% ▲278万円
368万円
7.6%
1382万円
1832万円
37.8%
515万円
10.6%
大幅な増収。黒字は確保。採算が大きく改善。
株式会社 金城コンサルタント 0.11億円
0.17億円
+46.1% ▲146万円
352万円
21.2%
955万円
958万円
57.6%
289万円
17.4%
大幅な増収。営業利益率も高水準。採算が大きく改善。

4.長期推移を見ると、今回の伸びは突出している

2013年、2016年、2017年、2018年、震災前、現在の各時点で、同じ会社を追跡しました。通常の景気変動や会社の入れ替わりだけではなく、固定会社の変化を見るためです。

固定会社の売上高指数(2013年=100)0711412122823532013201620172018震災前現在建コン地質調査測量業種間の規模差を消して伸び方を比較
固定会社の営業利益率・長期推移0.0%6.4%12.8%19.1%25.5%31.9%2013201620172018震災前現在建コン地質調査測量同じ会社を追跡した売上加重値
区分時点固定会社数売上合計売上中央値販管費率売上原価率営業利益率純利益率営業赤字社率
建コン 2013 7社 98.54億円 7.63億円 23.8% 72.5% 3.7% 1.2% 0.0%
建コン 2016 7社 112.09億円 10.73億円 23.3% 70.1% 6.5% 4.2% 0.0%
建コン 2017 7社 116.85億円 10.35億円 23.3% 70.3% 6.3% 2.5% 0.0%
建コン 2018 7社 118.75億円 10.73億円 24.4% 69.9% 5.7% 3.7% 0.0%
建コン 震災前 7社 142.00億円 11.90億円 21.9% 70.5% 7.6% 4.7% 0.0%
建コン 現在 7社 191.13億円 15.95億円 19.0% 65.5% 15.5% 10.2% 0.0%
地質調査 2013 14社 72.55億円 4.27億円 19.0% 79.9% 1.1% -0.7% 28.6%
地質調査 2016 14社 84.49億円 4.23億円 18.9% 78.4% 2.7% 2.6% 28.6%
地質調査 2017 14社 81.33億円 3.48億円 20.3% 77.3% 2.5% 2.1% 28.6%
地質調査 2018 14社 86.72億円 3.85億円 19.5% 76.4% 4.1% 2.4% 21.4%
地質調査 震災前 14社 103.07億円 5.29億円 18.8% 75.2% 6.0% 3.6% 28.6%
地質調査 現在 14社 169.22億円 6.54億円 14.3% 69.9% 15.9% 11.3% 7.1%
測量 2013 32社 29.75億円 0.57億円 27.1% 68.8% 4.1% 2.6% 31.2%
測量 2016 32社 32.75億円 0.76億円 28.1% 66.1% 5.7% 4.1% 18.8%
測量 2017 32社 35.63億円 0.73億円 26.6% 68.1% 5.3% 3.0% 21.9%
測量 2018 32社 37.55億円 0.77億円 26.7% 66.3% 7.0% 3.7% 18.8%
測量 震災前 32社 40.83億円 0.85億円 32.7% 60.8% 6.5% 3.4% 40.6%
測量 現在 32社 93.77億円 1.15億円 17.3% 54.2% 28.5% 17.7% 6.2%

2013年から震災前までも緩やかな成長はありましたが、現在の伸びは別の段階です。 特に測量は、固定32社の売上合計が2013年の約29.8億円から現在の約93.8億円へ増え、営業赤字社率は31.3%から6.3%へ低下しました。 地質調査も、営業利益率が2013年の1.1%から現在15.9%へ上がっています。

5.震災後の落札率は高くなったのか

石川県の入札情報システムは、月曜日から金曜日の6時~23時が稼働時間です。 以前、日曜日に開けなかったのは、メンテナンスというより通常の停止時間だった可能性が高いです。

落札率の集計について
公開PPIには個別案件の予定価格と落札額がありますが、県全体・年度別・業種別の平均落札率を一括出力する機能や公開CSVは確認できませんでした。 そのため、全件を確認していない数字を「県平均」として掲載することは避けました。 代わりに、石川県入札監視委員会の議事要旨に記載された、震災前後の参加者数と落札率の実態を整理します。
入札参加者の例4~5者 → 2者
同種の個別案件について、震災前は4~5者程度、震災後は手持ち工事の増加により2者となったと説明。
通常工事の目安約92%
交通信号機工事について、通常は92%前後が多いとの説明。
震災後の高落札率100%案件
令和6年度、県央土木管内だけで落札率100%が十数件。災害応援による辞退増が要因と推察。
災害対応で
手持ち業務が増える
技術者・作業員不足
辞退が増える
競争が弱まり
落札率が上がる

委員会資料では、災害応援のため金沢市内の業者でも辞退が増え、落札率が高くなったと説明されています。 また、応急復旧の随意契約は、施工後に業者の見積りを基に積算するため、落札率が100%に近くなる傾向があるとされています。 競争入札が減り、随意契約が増えたことも震災の影響だと県が認めています。

したがって、年度平均の正確な数字は出せないものの、震災後は参加者減少、辞退増加、随意契約増加によって、予定価格に近い金額で契約しやすい環境になったことは、県の公式資料から確認できます。

6.熊本地震では、復興予算は年々縮小した

復興需要は長く続きますが、ピークのままではありません。熊本県の公式予算を見ると、発災年度の平成28年度は補正を含め5,323億円、 翌年度は1,728億円、2018年度は1,226億円、2019年度は761億円へ減少しました。 その後も2021年度333億円、2022年度224億円、2023年度151億円、2024年度120億円まで縮小しています。

熊本地震関連予算の推移0億円1192億円2385億円3577億円4769億円5962億円5323億円2016 補正込1728億円20171226億円2018761億円2019333億円2021224億円2022151億円2023120億円20242016年度は2月補正まで含む。2020年度は比較可能な区分額を省略
2016年度は発災後の2月補正までを含む総額で、2017年度以降は主に当初予算の「熊本地震からの創造的復興分」です。 完全に同じ条件ではありませんが、復興予算が時間とともに急速に縮小する流れは明確です。 2020年度は骨格予算で、同じ区分の比較可能な本文掲載額を確認できなかったためグラフから省略しました。

7.特需後に問題になるのは、人員と固定費

震災後の仕事量に対応するため、技術者、調査員、測量員、事務員を増やした会社も多いと考えられます。 忙しい間は人件費や車両、機材、事務所費を増えた売上で吸収できます。 しかし、復旧・復興予算が減り始めると、増やした人員と設備はそのまま固定費として残ります。

今後の経営課題
  • 復興特需が減っても、増やした人員の稼働率と売上を維持する必要がある。
  • 石川県内では入札参加者が少なく、予定価格に近い受注が増えたため、原価管理が多少甘くても利益が残りやすかった。
  • 県外では参加者が多く、最低制限価格や予定価格ぎりぎりの競争が多い。県内と同じ感覚では利益が残らない。
  • 県外受注を増やすには、積算精度、工数管理、外注管理、移動・宿泊費を含む案件別採算の把握が必要になる。

石川県内で仕事が多い今のうちに、県外での営業ルートと実績を作る必要があります。 ただし、単に安く入札して売上だけを増やすと、固定費を賄うための受注が逆に利益を圧迫します。 「売上を取る」から「必要な粗利を残して売上を取る」へ切り替えられるかが重要です。

県外受注を伸ばすために必要なこと

  • 能登で得た災害対応実績を商品化する:初動調査、UAV、三次元計測、GIS、地すべり・斜面調査、災害査定資料の一連対応を強みにする。
  • 県外企業との協業:元請だけにこだわらず、専門分野の下請、共同企業体、繁忙期支援から取引を広げる。
  • 案件別の原価管理:技術者の実作業時間、移動、宿泊、外注、再作業まで含めて粗利を確認する。
  • 人員増を固定化し過ぎない:採用だけでなく、協力会社や個人事業者とのネットワークで繁閑差に対応する。
  • 通常業務へ展開する:災害対応で整えたデジタル化や省力化を、老朽化対策、砂防、道路防災、インフラ点検へ広げる。

熊本県の例では、復興予算は数年で大きく減りました。石川県でも同じように、現在の高い仕事量と利益率が永続するとは考えにくいでしょう。 今は「仕事をこなす時期」であると同時に、特需後の売上を作る準備期間でもあります。

8.データの見方と注意点

  • 国交省の各社最新決算を使用し、登録番号が同じ会社を震災前と現在で比較しています。
  • 震災前は、測量・建コンが2022年9月版、地質調査が2023年2月版。現在は2026年7月9日更新版です。
  • 会社ごとに決算月が異なり、現在データは主に2025~2026年決算です。
  • 会社全体の決算であり、震災関連業務、通常公共事業、民間、工事、環境事業などを分けた数字ではありません。
  • 建コン協会、地質調査業協会、測量設計業協会の順で重複を除外した54社を、石川県の業種別集計に使用しています。
  • 落札率についてはPPI全件平均ではなく、石川県入札監視委員会の公式説明を使用しています。

出典

国土交通省「建設関連業者の登録情報提供システム」
国交省の登録情報ページ

石川県「入札情報システム」
石川県PPI案内ページ

石川県「令和6年度第4回 石川県入札監視委員会 議事要旨」
議事要旨PDF

石川県「令和6年度第5回 石川県入札監視委員会 議事要旨」
議事要旨PDF

熊本県予算資料: 2017年度 / 2018年度 / 2019年度 / 2021年度 / 2022年度 / 2023年度 / 2024年度

本記事の財務計算表:石川県_震災前後_測量地質建コン_業績比較_2026年7月.xlsx
数値は表示時に丸めているため、合計が一致しない場合があります。

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